| Art Director |
2011年、創業期にWebデザイナーとしてルーデルへ入社し、ソーシャルゲーム事業の立ち上げ時にはイラストレーターとして最前線に立ったSakaiさん。VP(部長職)やエキスパート職を経験し、アートユニットの中心を担うルーデルの生き字引的存在です。 Sakaiさんが歩んできたキャリア、ルーデルという会社の変遷、組織づくりへの思いをたっぷり語っていただきました。 イラストレーター、アートディレクターとしてのキャリアに興味がある方はもちろん、「自分の中の衝動に出会いたい」「クリエイターとして生き抜く力を得たい」──そんなあなたにこそ読んでほしいリアルな物語です。 ぜひご覧ください。
専門学校を卒業後、2011年にWebデザイナーとしてアルバイト入社。ゲーム事業の立上げ時にメインのイラストレーターとなり、現在は新規開発タイトルのアートワーク制作とVP職としてアートユニットの組織マネジメントにも従事。
子どもの頃から絵を描くのが好きで、まわりの子よりちょっとだけうまく描けて、褒められる。それが嬉しくて、自然と「自分は絵で生きていくんだろうな」と思っていました。「将来の夢は漫画家」と本気で言ってました。よく分からない自信だけはあったんです。
その後、デザイン系の専門学校に進学し、ルーデルの前身であるレアゾンのアルバイト募集に出会いました。Webデザイナーとして入社し働きだしたある日、社内で「ソーシャルゲームを作ってみたい人いる?」と声がかかりました。それを聞いた瞬間「これだ!」と思い、勢いよく手を挙げました。
そのとき、デジタルイラストの経験はなかったのですが、「やります」って言い切りました。あのときは「もうやるしかない」と思ってました。ペンタブを握るのは初めて。でも、自分で「できる」と言った以上、「やりきる、やるしかない」。それが結果的に、自分を飛躍的に成長させてくれたんです。退路を断つことで力を発揮できるタイプだと、生まれて初めて気づきました。自分の力を発揮するためにどうすればいいかを知った、私の原体験だったと思います。
これ以降、「今の自分ではなく、未来の私に投資してほしい」というスタンスで難しい仕事に続々チャレンジしてくようになりました。
ソーシャルゲームの知識も経験もない中でのスタート。もちろん、最初は売上も立ちません。そんな時に開発チームに救いの手を差し伸べたのが現レアゾン・ホールディングス代表の渡邉でした。一緒にゲームを立ち上げ、半年で黒字化を達成。「この人についていけば、これまで見れなかった景色を見れる」とワクワクが止まりませんでした。
その後、さらに大きな挑戦として手がけたのが『ドラゴンエッグ』。今のルーデルからすると考えられませんが、珍しく開発期間も長かったんです。満を持してリリースしたそのゲームが、大ヒット。業界でも影響力のある売上規模になっています。管理画面でリアルタイムに数字が跳ね上がっていく様子を見たとき、「こんなにも多くの人が、自分たちの作ったゲームを遊んでくれている」──その実感に、震えました。
ただ、立ち上げ当初からずっと好調だったわけではありません。実は『ドラゴンエッグ』は売上が上がらず一度閉じたことがありました。ゲームの知見がない中での運営だったので、準備不足はもちろん、自分たちもストロングポイントの設定が甘かったんだと思います。でも、その悔しさと反省をバネに『ドラゴンエッグ』の面白さや魅力を定義し、設計。そして、再スタートを切り、今も続く人気タイトルへと進化させていきました。
その後もルーデルは多くのゲームをリリース。中にはうまくいかないものもありましたが、その経験を無駄にせず、成功の法則を導き出し他のゲームづくりに活かしています。
30歳になった頃、VP職から離れてエキスパート職として現場に戻ったことがあります。「まだプレイヤーとして戦いたい」という気持ちが強く、人のマネジメントより、自分の手で制作に時間を注ぎ込んだらどうなるか試してみたくなったんです。
でも、組織の人数が増えるにつれ、個人の力だけじゃどうにもならない瞬間が増えてきました。『ドラゴンエッグ』を生み出した当初と比べると、ゲームに携わる人数も増えているため、メンバー間での認識のズレが生じることも。いい意味では組織的になったため、物事を動かすにはより多くの連携が必要になったと感じています。組織が拡大しているので、あたりまえな現象なのかもしれませんが、創業期の「みんなでひとつのものをつくる」濃い空気を知ってる分、余計に違和感を覚えたんだと思います。
「一個人だけが変わっても意味がない、チームで変わらなければ」と思い、マネジメントの立場に戻る決断をしました。「ルーデルの“面白いものづくり”を次世代につなぎ、さらに進化させていきたい」そういう気持ちでした。
再びVP職に就いた私の各メンバーへの願い。それは、野心を持って壁を見つけてほしいということです。壁に挑んで乗り越えた瞬間、誰しも成長実感を持てると思います。振り返ったときに「自分はこれをやり切れたんだ」と思えた方が人生は豊かになるんじゃないかなと。楽しめた者勝ちだと思っています。
ルーデルの開発スピードは、爆速です。ソーシャルゲーム業界だと、一般的には1〜2年くらいが開発期間と言われてますけど、ルーデルでは半年以内が目標となることもあります。「もう出すの?」と思うぐらい速い。正直、もう少し時間をかけたい。そんな気持ちが芽生えることもあります。でも、その速さが面白いんです。速さの中でやりきる覚悟がある人は、本当に爆速で成長できます。なにせ、半年で1年分の経験ができますからね。勝負しがいがあると私個人的には思います。
売上や目に見える成果って、シンプルで分かりやすいので、私は好きです。特にライフワークであるアートに携われることには、強いやりがいと喜びを感じています。だからこそ、自分が生み出したクリエイティブをユーザーが喜んで遊んでくれるのは、本当に嬉しいことです。さらに、お金を払ってまでその作品を楽しんでくれる人がいる——そんな瞬間に出会えるなんて、クリエイター冥利に尽きます。まさに「やっててよかった!」と心から思える瞬間です。
「数字で評価されるのが嫌」という人もいるかもしれません。でも私は、デザインのプロとして生き抜くためには、市場で勝負し、そのうえで結果を出すことが大切だと考えています。だからこそ、定説を覆すような数字を叩き出せたときは、それが自信にもつながり、「やってやったぞ!」と心から歓喜できるのだと思います。趣味ではなく、ユーザーに高い価値を提供する“プロ”としてこれからもアート制作に携わり続けたいと考えています。
ルーデルのイラストレーターやアートディレクターに求めてるのは、“攻めの姿勢”です。たとえば、所謂ソーシャルゲーム業界のアートディレクターの仕事は、パートナー会社と協業して品質を担保するという守りの仕事になることも。でも、世界一を目指すなら、その姿勢では頂点は目指せない。
「こういうことをやりたい」「こうしたらもっと面白くなる」と思っているだけでなく、言葉にして人を巻き込む。爆速環境下の時間がない中でも、やれることを模索する。そんな人材の成長を支援していきたいと考えています。
また、道半ばではありますが、「ルーデルのビジュアルは一味違う」、一目見ただけで「ルーデルのゲームだ」という“唯一無二のビジュアル”を生み出していきたいと考えています。
正直、無謀な挑戦かもしれません。でも、私は自分を追い込むことで成果を出してきました。ひとりでは無理かもしれません。でも、チームでなら超えられる。そう信じています。
この高い壁に挑み、乗り越えた先の景色をともに見に行きたいと思います。この記事を読んで少しでも鼓動の高鳴りを感じたなら、一緒にやりましょう。
他デザイナーのインタビュー